【A.L.I. Technologies/樽田×エアロダインジャパン/伊藤】住みよい街と安全な暮らしを守る。ドローン社会の未来までも共有するパートナーへの、期待。
企業インタビュー
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2022-01-20
【A.L.I. Technologies/樽田×エアロダインジャパン/伊藤】住みよい街と安全な暮らしを守る。ドローン社会の未来までも共有するパートナーへの、期待。

ドローン社会の実現を加速させるスペシャルタッグが誕生した。株式会社A.L.I. Technologies(本社:東京都港区)はドローンにおいてレベル3(無人地帯での目視外飛行)のソリューション提供が可能な数少ないプレイヤーであり、『XTURISMO』シリーズなど世界初の「空中を走行するバイク」を開発するベンチャー企業としても注目を集めている。

対するエアロダインジャパン(本社:東京都渋谷区)は、マレーシアで創業し、世界35ヵ国に進出するドローン・スタートアップ「Aerodyne Group」における16番目の法人だ。なりたちは違えど、両者は互いの課題を解決しあう存在であり、ドローン社会の未来までも共有するパートナーだ。提携の旗振り役であるA.L.I. Technologies社執行役員の樽田氏と、エアロダインジャパン代表の伊藤氏に提携のねらい、それぞれが見据えるドローン社会について話を聞いた。



樽田 匡史(タルタ マサシ)(写真左)さん(株式会社A.L.I. Technologies執行役員)

幼少期をアメリカで過ごし、大学入学を機に帰国。GMOインターネットに入社し新規事業立ち上げに従事。ゲーム業界のコンテンツ開発、ビズリーチにおけるプロダクト開発を経て楽天及び米国エアマップ社の合弁会社設立を機に参画。2021年1月、株式会社A.L.I. Technologies入社。


伊藤 英(イトウ アキラ)(写真右)さん(エアロダインジャパン株式会社 代表取締役)

アメリカや日本でテレビ番組を中心とした映像制作スタッフとして従事したのち、シンガポールに移住。現地で世界35ヵ国に進出するドローン・スタートアップ「Aerodyne Group」の支援を行う。2018年7月、同社の日本法人であるエアロダインジャパン株式会社設立とともに日本法人社長に就任。


・「絶対に成功します」活かしあい、補いあうことの自信が、顧客の安心を担保する

・何事もない暮らしを守り、受け継ぐ存在でありたい

・産業の発展のために。今だけでなく未来も共有しあう。

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「絶対に成功します」活かしあい、補いあうことの自信が、顧客の安心を担保する

ーーお二人の今に至るまでのご経歴についてお聞かせください。

(樽田)

私は高校までアメリカで過ごし、大学卒業後はGMOインターネットに入社しました。入社4年目に新規事業に関わる機会があり、以降は今に至るまで「IT」と「新規事業」というのがバックグラウンドになっていると思います。その後はゲーム業界、HRtech系のサービスをベンチャーで担当し、当社に転職する前は楽天に在籍していました。楽天が物流ドローンや関連するサービス提供を推進しているのはよく報道にも取り上げられますが、もう一つの柱として、いわゆる空域管理、UTM(UAS Traffic Management=ドローン運航管理システム)のコンテンツ事業として、アメリカのエアマップという会社と合同会社を日本で設立したタイミングでジョインしました。社会的にも今以上にUTMという言葉自体が浸透しておらず、私自身「UTMって何?」という状態でしたが、そのようなタイミングだからこそ一層ドローンの魅力、可能性に惹かれていきました。楽天には約3年勤務し、ちょうど大きなプロジェクトが終わる節目に声がかかり、スタートアップがどのようにドローンに貢献できるのかという点に興味もあったので当社に転職することに決めました。現在は執行役員という立場で、ドローンAI事業を統括する役割を担っています。


(伊藤)

私は元々テレビ業界での経験がベースになっています。アメリカで撮影コーディネーターとして従事した後に帰国し、テレビ番組のADとして働いていました。今はドローンの活用と言えばインフラ点検や農薬散布などの期待が強いですが、それよりも前から映像表現のツールとしてドローンが活用されており、当時の驚きはこの業界に身を置く原体験の一つとなっています。その後シンガポールに移住した頃に、エアロダインとの縁が深まっていきます。本社はマレーシアですが、シンガポール法人とたまたま仕事をする機会があり、きっかけは日本人の商習慣が分からないということを相談されたのがはじまりでした。「私を入れてみては?」と申し出たところ、お互いに“お試し”でお手伝いが始まります。おかげさまでどんどん案件が前に進み正式にジョインしないかと誘われるのですが、マレーシアで働くイメージは持てておらず躊躇っていたというのが正直なところです。エアロダインの素晴らしい面なのですが「いっそ日本法人を作るので社長をやらないか」と提案してもらい、世界で16番目の進出国として2018年7月にエアロダインジャパンを設立、今に至ります。


ーー今回の提携はどのような経緯で始まったのでしょうか。

(樽田)

まずはA.L.I.の狙いについてご紹介します。私たちはドローンを飛ばし、インフラ点検に寄与していくこと、ドローン管制システム『C.O.S.M.O.S.(コスモス)』に代表されるようなオペレーション構築に強みを持った会社だと考えています。一方で、いわゆる後工程のデータ解析や処理に関してはサービスを提供してはいるものの、得意な分野ではありません。目視外飛行でスピーディに高精度な測量ができる私たちが、データ処理の分野までワンストップでお客様に提供できれば、サービスとしてより強みを発揮することができます。今後の展開を考えた際に、エアロダインさんが展開するプラットフォームはまさにその課題解決にマッチするものでした。1年ほど協業パートナーとしてご一緒していたこともあり、協力体制をイメージしやすかったというのも大きいと思います。この提携によって、ドローンを飛ばし、運航管理からデータ分析、そして行政や関係各所に提出する調書までワンストップで提供し、お客様はご依頼いただくだけという世界観を築けると考えています。


(伊藤)

私たちが海外で培った実績は大きな強みですが、それを日本で早く、確実に展開していこうと考えた際に、A.L.I.さんがベストなパートナーだと考えました。特に風力発電や太陽光発電は国によっての違いはほとんどありません。日本には約2,300の風力発電機があると言われていますが、当社は点検の実績だけで7,000を超えています。それだけ成功も失敗もしていますので、ドローンを飛ばした先の産業セクターの情報も豊富に持っています。例えば風力発電の撮影ができたとして、風力のブレードがどう破損しているのか、それがどのような影響を与えるのかという一連の方法やマニュアルが日本でも再現性を持ってできるところが強みです。このような蓄積をA.L.I.さんに還元していくことができれば、シナジーが生まれて、日本国内でもドローンの社会進出を後押しすることができるのではないかと考えています。


(樽田)

お客様と一緒に風力発電のブレードの撮影画像を見ながら「この傷は、塗装が剥げているのか、腐食しているのか、原因は落雷によるものなのか」という質問を受けることがありますが、エアロダインさんが蓄積されてきたノウハウには助けられています。私たちはもちろんですが、日本企業でこれだけのノウハウを蓄積できている企業は無いと思います。


(伊藤)

私たちだけで市場に参入していくのもハードルが高く、特に日本では初めてのサービスとなるケースがほとんどですので、“ファーストペンギン”という表現をすることもありますが、できれば一番最初のユーザーになることは避けたい。前向きに話を聞こうと思っていただける土壌があるのはA.L.I.さんが積み重ねてこられた信頼がベースになっています。エアロダインとA.L.I.が協業することで、日本では初めてでも世界で見ればこのような成功も失敗もある。両者の知見を生かせば、絶対成功させられる、という安心が担保できることがビジネスにおいて非常に重要だと思います。


ーープロジェクトはどのような体制で進められているのでしょうか。

(樽田)

私が管掌するドローンAI事業の部門約20名が、何らかの形で関わる当社の中でも大きなプロジェクトです。半数がエンジニア、あとはBizdev、パイロットなども在籍しています。


(伊藤)

当社は私含めて3名で、これに加えてマレーシアの本社所属でエアロダインジャパンのアシスタントとして配属されたメンバーが1名です。2022年の1月から3月にかけて2名採用する予定ですが、まだまだ規模は大きくありません。A.L.I.さんのコアテクノロジーは替えがきかないものですので、当社としてもとても積極的に推進したいと考えています。単純にドローンを飛ばしてください、というものではなくこれからの日本に必要となるテクノロジーを実証するプロジェクトとして両者に利の大きな取組みにしたいと考えています。


何事もない暮らしを守り、受け継ぐ存在でありたい

ーープロジェクトの社会的意義について、お考えをお聞かせください。

(樽田)

“空の道路公団” それが私たちの目指すものであり、社会的意義だと考えています。道路公団は車が正しく通行できるように維持管理する役割を担いますが、空においてもドローンが飛行するためのル―ルの管理は当然のこと、正しくドローンが飛んでいるのか、飛んでいるときにその下で生活する人々は、安心・安全に何事もなく暮らしを担保できるのかを維持する存在が必要です。言い換えると、社会で空中域を存分に活用できるようになるためには、IoT技術、ロボティクス技術を磨きドローンや、ホバーバイクの性能向上に努めることはもちろん、運航管理システムを整備し状態を可視化することが不可欠であり、そのトップランナーでありたいと考えています。


(伊藤)

私からはインフラの維持、国家の存続という意味合いでお話させていただければと思います。日本の年間の公共事業費は約6兆円ですが、実はそのうち3.6兆円分が既存のインフラの修繕、維持に充てられているのはご存知でしょうか。私は海外、特に新興国での暮らしも長いのでこの点に思うところもあるのですが、東南アジアのような新興国の多くの人々は、今日よりも明日には、もっと豊かで住みよい街になっていると信じています。日本は人口、そしてそこに密接に関わる経済という意味でも同様に感じられる場面は多くないかもしれませんが、実際に2032年には6兆円分の5.5兆円がインフラの維持・管理に充てざるを得ない状況と言われています。このままでは、自分たちが享受した住みやすい国を子孫の代に受け継いでいくことはできません。その意味でもテクノロジーによってインフラ保全、そして省人化を推進することには大きな価値があると思いますし、A.L.I.さんとであれば大きな成果を残すことができると信じています。


ーーベンチャー同士の協業についての例はまだ日本では多くない印象ですが、今後どのような取組みをしていこうとされているのでしょうか。

(伊藤)

結果的にお互いベンチャー企業だった、というのが正しいと思うのですが、当社やA.L.I.さんと近しいサービスを展開していたとしても、ドローン業界はまだ黎明期ですので、競争するよりも共創してマーケットを作っていく段階だと思います。日本はエアロダインが本社を置くマレーシアなど東南アジアの国々と比較しても規制は厳しい方だと思いますので、お客様への提案という点はもちろん、経産省や国交省のバックアップを取り付けるような動きや、自治体さんと連携して実証を進めるということでも協働していきたいと考えています。


(樽田)

先ほどお話しした社会的意義、そしてそれを体現する私たちの目指すものということにもつながりますが、お互いにとっての重要なマイルストーンとして、今年度はNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)との地域実証は特に注力した取組みです。エアロダインさんとコンソーシアムを組成し、高知県の四万十町で「物流」「防災」「点検」「調査」の4つのユースケースにおける有用性を検証し、一定の手ごたえを掴むことができたと感じています。


(伊藤)

行政との取組においても、エアロダインの海外でのノウハウも活用できる面があると感じています。ドローンが1機300万円だとすると、先進国では多くの会社、場合によっては個人ですらも手が届く価格帯だと思います。それが貨幣価値が10分の1の国だとすると3000万円の価値になり、参入可能な事業者も限られてくる。エアロダインは30か国以上に進出していますが、このような背景もあり、東南アジアだけではなく、ドバイ、インド、チリなど競合に先んじてビジネス展開できている国もあります。チャンピオンの立ち位置を取ることができれば、ドローンの法整備においても優先的に意見をヒアリングされることも増え、知見が蓄積されていくのです。


(樽田)

『C.O.S.M.O.S.』のような運航管理システムは海外ではUASSP(UAS Service Provider)などと言われますが、ドローンの活用に際してUASSPの議論は不可欠で、いま世界中でそれが議論されています。最終的にルールを決めるのは国ですが、ガバメントリレーションの部分から入っていくのは非常に重要です。


産業の発展のために。今だけでなく未来も共有しあう。

ーーエアロダインにとっては日本市場の拡大、A.L.I.にとっては世界への足掛かりという側面もあるのではないかと感じました。

(伊藤)

エアロダインは競合が少ない、ある意味で未開の地を攻めているとも言えるかもしれません。マレーシアで設立されたこともあり、途上国は横展開しやすいという背景もありました。一方で日本はそのままの展開は難しいものもあり、そのあたりは当社がこれまで日本の展開をどう進めてきたかという観点でご説明させていただければと思います。当初マレーシアのトップから「営業担当を20名ほど採用してはどうか」という提案があったのですが、私は「固定費を最小限にして正しいローカルパートナーをみつけることが重要だ」と回答して今回のA.L.I.さんとの協業を優先してきました。ドローンのプレイヤーが一定数出てきていることや、先ほども少し触れたサービス導入にあたっての顧客特性がその理由です。成果につながりそうな実証も増えており、今後は人材採用も踏み出していこうと考えています。


(樽田)

マーケット、収益性の観点から、かねてより海外のポテンシャルには注目しています。また、『C.O.S.M.O.S.』をはじめとして、当社のサービスも海外でも勝負していけるものだという自信も少なからず持っています。ただ、私たち1社だけで参入していくということのハードルが高いことも事実で、日本でのエアロダインさんとの提携をまずは成功させ、ジャパンだけに留まらずグローバルの目線でも連携していきたいと考えており、その点もまさに協議している段階です。


ーーありがとうございます。両社の今だけでなく、目指す先にも共通項があるのですね。最後に、自社で求める人材についてお聞かせください。

(樽田)

スタートアップですので、チャレンジを恐れないこと、チャレンジ精神が旺盛であるということは不可欠な要素だと思いますし、自分の仕事の範囲を制限せずに、臨機応変に色々なことに関心を持てる、ということが大切だと思います。組織としては大手出身者も多くいて、コンサルファーム、外資系企業、日系大手製造業など多様なバックグラウンドを持つ社員が在籍しています。まだこの業界に「正攻法」はありませんので、多角的に考えて、ロジカルにベストなソリューションだということを組み立てられればご自身がやりたいことを実現できる環境だと思います。新しい課題、新しいやり方が毎日出てきますので、そのような日常に関心がある方はウェルカムです。


(伊藤)

ドローン自体が黎明期ですので、「これを売る」ということが決まっている場合は少ないですし、お客様から具体的に「これをやりたい」と依頼を受けるケースも多くはありません。お客様先で、「この課題に対して一緒にこれをやりませんか」というご提案をすることがほとんどです。お客さまの経営課題、日本ならではの社会課題、様々な粒度の課題に向き合いながら、「この課題をお客様と一緒に解決したい」という志、考え方ができる人が今ドローン業界に求められているのではないかと思います。しばらくは、道なき道を進んでいくという感覚になると思いますし、法律が一つ変わるだけで良くも悪くも影響を受けることがあります。その法律をつくる上で、ヒアリングを受ける側にもなっていますので、日本という国を大きく前に進めるという、大きな動きの中に自分の仕事を感じられるというのは間違いなくやりがいだと思います。


(樽田)

伊藤さんがA.L.I.にとても素敵な方を紹介してくれるんですよ。


(伊藤)

優秀な方でもエアロダインでは事業フェーズや戦略上、どうしても受け入れが難しい場合があります。A.L.I.さんは一定の組織規模に成長し、資金調達ができていることもあり「この人と一緒に仕事がしたいな」と思う方で当社での採用が難しい場合は紹介するようにしています。パッションがあり相性が良さそう、という樽田さんとしばらくご一緒しているからこそ分かり合えている目線なのですが、このような取組みが提携先であるA.L.I.さんの成長に寄与し、それが当社の成長として返ってくると考えています。1社の目線ではなく産業として根付かせ育成していくためにも必要な取組みではないかと思います。

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